【この記事でわかること】
- NISAの「枠の復活」とは何か、基本の3つのルール
- 売却した枠は「いつ」復活するのか(よくある誤解)
- 具体例で見る、売却から枠復活までの時系列
- 売却するときに気をつけたいポイント
- 枠の復活をどんな場面で活用するとよいか
「NISAで持っている商品を売ったら、その年のうちに枠が復活するんですよね?」
そんな話を聞いたことはありませんか。実はこれ、正確ではありません。
今回は、NISA(少額投資非課税制度〈=一定の金額まで税金がかからずに投資できる国の制度〉)の「枠の復活」について、金融庁の公表資料をもとに整理します。
あやの:最近、NISAで売った枠ってその年のうちにまた使えるって聞いたんですけど、本当ですか?
にしやん:それ、よくある誤解なんです。2025年に金融庁がそういう改正を要望したのは事実なんですが、実際にはまだ実現していません。
あやの:え、そうなんですか!てっきり決まった話だと思ってました…。

🔗 生涯非課税保有限度額(1,800万円)の仕組みについては、第13回の記事で詳しく解説しています。
【結論】
NISAで商品を売却した場合、非課税保有限度額(=生涯にわたって非課税で持てる上限、1,800万円)のうち売却した分の枠は「翌年」に復活します。同じ年のうちには復活しません。
「同年中に復活する」という改正案は、金融庁が2025年8月に要望として出しましたが、2025年12月の「令和8年度税制改正大綱」では見送りとなり、2026年3月に成立した令和8年度税制改正法にも盛り込まれず、2026年9月時点でもまだ制度化されていません。
① 枠復活の基本ルール
まず、枠が復活する仕組みを3つのポイントに分けて整理します。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 復活するタイミング | 売却した年の翌年(1月1日から) |
| 復活する金額 | 売却した商品の取得価額(簿価)。売却時の時価ではない |
| 復活する枠の種類 | 生涯非課税保有限度額(1,800万円)のみ。年間投資枠(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=360万円)は復活しない |

⚠ 注意
「同年中の復活」は、金融庁の要望止まりです。
金融庁は2025年8月、令和8年度税制改正要望の中で「非課税保有限度額の当年中の復活」を求めましたが、2025年12月19日に与党が公表した「令和8年度税制改正大綱」ではこの項目は盛り込まれませんでした。2026年3月に成立した実際の税制改正法でも同様です。
ネット上には「2026年からその年のうちに復活する」という情報も見られますが、2026年9月時点の公式情報とは異なりますのでご注意ください。
② 具体例で見る時系列
成長投資枠で300万円分(簿価ベース)を保有していて、住宅購入の頭金として2026年6月に売却したケースで見てみましょう。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2026年6月 | 成長投資枠で保有していた300万円分(簿価)を売却 |
| 2026年中 | 売却した300万円分の生涯枠はまだ復活しない。その年の年間投資枠(360万円)に残りがあれば、それとは別に投資は可能 |
| 2027年1月1日 | 売却した300万円分の生涯非課税保有限度額が復活。再び投資に使えるようになる |

あやの:じゃあ、6月に売っても、その年のうちに枠が増えるわけじゃないんですね。
にしやん:そうなんです。その年のうちにもう一度投資したいなら、その年の年間投資枠の残りを使うことになります。復活した枠を使えるのは、あくまで翌年からです。
③ 売却するときの注意点
✅ ポイント
- 年をまたぐタイミングに注意:NISA枠が復活する年は、「約定日(=売買が成立した日)」ではなく「受渡日(=実際に代金や商品の受け渡しが完了する日)」を基準に決まります。受渡日は売却の申し込みから数営業日後になるのが一般的なので、年末に売却する場合は、受渡日が年内に収まるよう余裕を持って手続きしましょう。
- 含み損があっても簿価分は復活するが、損失は確定する:売却すれば取得価額分の枠は復活しますが、含み損(=買った値段より値下がりしている状態)がある場合、その損失は確定してしまいます。
- 損益通算はできない:NISAの損失は、課税口座(特定口座・一般口座)の利益と相殺(=損益通算。プラスとマイナスを差し引きすること)することができません。

💡 重要ポイント
含み損の商品を売却した場合、簿価分の枠は復活しますが、その損失は税務上「なかったこと」にはできません。
頻繁な売買は、長期投資のメリットである複利効果(=利益がさらに利益を生み出す効果)を損なう可能性もあるため、売却前に本当に必要かどうかを考えることが大切です。
④ よくある誤解Q&A
Q. 同じ枠を何度でも復活させられる?
A. 回数の制限はありません。ただし、生涯非課税保有限度額(1,800万円)の範囲内でしか投資できません。
Q. 売却した年に、その分を使ってすぐ投資できる?
A. できません。復活するのは翌年からです。その年のうちに追加投資したい場合は、その年の年間投資枠の残りを使うことになります。
Q. 一部だけ売った場合はどうなる?
A. 全部売却でなくても、売却した分の取得価額に応じて、その分だけ枠が復活します。

⑤ どんな場面で活用するとよいか
✅ ポイント
- 教育資金・住宅資金など、まとまったお金が必要になったとき
- ライフステージの変化に合わせて、保有商品を入れ替えたいとき
- 頻繁な売買を目的にした使い方はおすすめしません。あくまで「必要なときに引き出せる」安心材料として捉えるのがよいでしょう

あやの:じゃあ、頻繁に売り買いするための仕組みではないんですね。
にしやん:その通りです。「いざというときに引き出せる」という安心材料として持っておくのがちょうどいいと思います。
まとめ
- NISAの枠復活は「翌年」から。同じ年のうちには復活しない
- 復活するのは、簿価(取得価額)ベースの金額
- 復活するのは生涯非課税保有限度額(1,800万円)のみで、年間投資枠(360万円)は復活しない
- 「同年中の復活」という改正案は、2025年12月の税制改正大綱で見送りになった
- 頻繁な売買より、必要なときに活用する安心材料として理解しておくのがおすすめ

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ここまで読んでくださり、ありがとうございました😊
「枠の復活」について、少しでもイメージが掴んでいただけていたら嬉しいです。
次回もどうぞお楽しみに。
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本記事は2026年9月3日時点の情報をもとに作成しています。内容は金融庁が公表した資料等に基づいていますが、税制は今後変更される可能性があります。正確な最新情報は、金融庁や各証券会社の公式サイトでご確認ください。本記事は特定の商品や運用方法を推奨するものではなく、一般的な情報提供を目的としています。投資は自己判断・自己責任で行っていただき、個別の税務・投資判断に関するご相談は、税理士やファイナンシャルプランナーなど専門家にご相談ください。本記事は広告(アフィリエイトリンク)を含みます。
