【第14回】NISA枠は「売ったその年」に復活する?よくある誤解を整理してみた

NISA・投資

【この記事でわかること】

  • NISAの「枠の復活」とは何か、基本の3つのルール
  • 売却した枠は「いつ」復活するのか(よくある誤解)
  • 具体例で見る、売却から枠復活までの時系列
  • 売却するときに気をつけたいポイント
  • 枠の復活をどんな場面で活用するとよいか

「NISAで持っている商品を売ったら、その年のうちに枠が復活するんですよね?」

そんな話を聞いたことはありませんか。実はこれ、正確ではありません。

今回は、NISA(少額投資非課税制度〈=一定の金額まで税金がかからずに投資できる国の制度〉)の「枠の復活」について、金融庁の公表資料をもとに整理します。

あやの:最近、NISAで売った枠ってその年のうちにまた使えるって聞いたんですけど、本当ですか?

にしやん:それ、よくある誤解なんです。2025年に金融庁がそういう改正を要望したのは事実なんですが、実際にはまだ実現していません。

あやの:え、そうなんですか!てっきり決まった話だと思ってました…。

NISA枠の復活、その年に復活するという誤解

🔗 生涯非課税保有限度額(1,800万円)の仕組みについては、第13回の記事で詳しく解説しています。

【結論】

NISAで商品を売却した場合、非課税保有限度額(=生涯にわたって非課税で持てる上限、1,800万円)のうち売却した分の枠は「翌年」に復活します。同じ年のうちには復活しません。

「同年中に復活する」という改正案は、金融庁が2025年8月に要望として出しましたが、2025年12月の「令和8年度税制改正大綱」では見送りとなり、2026年3月に成立した令和8年度税制改正法にも盛り込まれず、2026年9月時点でもまだ制度化されていません。

① 枠復活の基本ルール

まず、枠が復活する仕組みを3つのポイントに分けて整理します。

ルール 内容
復活するタイミング 売却した年の翌年(1月1日から)
復活する金額 売却した商品の取得価額(簿価)。売却時の時価ではない
復活する枠の種類 生涯非課税保有限度額(1,800万円)のみ。年間投資枠(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=360万円)は復活しない

NISA枠復活の3つの基本ルール

⚠ 注意

「同年中の復活」は、金融庁の要望止まりです。

金融庁は2025年8月、令和8年度税制改正要望の中で「非課税保有限度額の当年中の復活」を求めましたが、2025年12月19日に与党が公表した「令和8年度税制改正大綱」ではこの項目は盛り込まれませんでした。2026年3月に成立した実際の税制改正法でも同様です。

ネット上には「2026年からその年のうちに復活する」という情報も見られますが、2026年9月時点の公式情報とは異なりますのでご注意ください。

② 具体例で見る時系列

成長投資枠で300万円分(簿価ベース)を保有していて、住宅購入の頭金として2026年6月に売却したケースで見てみましょう。

時期 できごと
2026年6月 成長投資枠で保有していた300万円分(簿価)を売却
2026年中 売却した300万円分の生涯枠はまだ復活しない。その年の年間投資枠(360万円)に残りがあれば、それとは別に投資は可能
2027年1月1日 売却した300万円分の生涯非課税保有限度額が復活。再び投資に使えるようになる

NISA枠復活の時系列イメージ

あやの:じゃあ、6月に売っても、その年のうちに枠が増えるわけじゃないんですね。

にしやん:そうなんです。その年のうちにもう一度投資したいなら、その年の年間投資枠の残りを使うことになります。復活した枠を使えるのは、あくまで翌年からです。

③ 売却するときの注意点

✅ ポイント

  1. 年をまたぐタイミングに注意:NISA枠が復活する年は、「約定日(=売買が成立した日)」ではなく「受渡日(=実際に代金や商品の受け渡しが完了する日)」を基準に決まります。受渡日は売却の申し込みから数営業日後になるのが一般的なので、年末に売却する場合は、受渡日が年内に収まるよう余裕を持って手続きしましょう。
  2. 含み損があっても簿価分は復活するが、損失は確定する:売却すれば取得価額分の枠は復活しますが、含み損(=買った値段より値下がりしている状態)がある場合、その損失は確定してしまいます。
  3. 損益通算はできない:NISAの損失は、課税口座(特定口座・一般口座)の利益と相殺(=損益通算。プラスとマイナスを差し引きすること)することができません。

NISA売却時の注意点

💡 重要ポイント

含み損の商品を売却した場合、簿価分の枠は復活しますが、その損失は税務上「なかったこと」にはできません。

頻繁な売買は、長期投資のメリットである複利効果(=利益がさらに利益を生み出す効果)を損なう可能性もあるため、売却前に本当に必要かどうかを考えることが大切です。

④ よくある誤解Q&A

Q. 同じ枠を何度でも復活させられる?

A. 回数の制限はありません。ただし、生涯非課税保有限度額(1,800万円)の範囲内でしか投資できません。

Q. 売却した年に、その分を使ってすぐ投資できる?

A. できません。復活するのは翌年からです。その年のうちに追加投資したい場合は、その年の年間投資枠の残りを使うことになります。

Q. 一部だけ売った場合はどうなる?

A. 全部売却でなくても、売却した分の取得価額に応じて、その分だけ枠が復活します。

NISA枠復活に関するよくある誤解Q&A

⑤ どんな場面で活用するとよいか

✅ ポイント

  • 教育資金・住宅資金など、まとまったお金が必要になったとき
  • ライフステージの変化に合わせて、保有商品を入れ替えたいとき
  • 頻繁な売買を目的にした使い方はおすすめしません。あくまで「必要なときに引き出せる」安心材料として捉えるのがよいでしょう

NISA枠復活の活用場面

あやの:じゃあ、頻繁に売り買いするための仕組みではないんですね。

にしやん:その通りです。「いざというときに引き出せる」という安心材料として持っておくのがちょうどいいと思います。

まとめ

  • NISAの枠復活は「翌年」から。同じ年のうちには復活しない
  • 復活するのは、簿価(取得価額)ベースの金額
  • 復活するのは生涯非課税保有限度額(1,800万円)のみで、年間投資枠(360万円)は復活しない
  • 「同年中の復活」という改正案は、2025年12月の税制改正大綱で見送りになった
  • 頻繁な売買より、必要なときに活用する安心材料として理解しておくのがおすすめ

NISA枠復活まとめチェックリスト

💰 確定申告・帳簿管理でお困りの方へ

NISA以外の副業収入や事業所得がある方は、確定申告の準備も欠かせません。マネーフォワード クラウド確定申告なら、レシートの読み取りから書類作成まで自動化できます。

自動化でカンタンに書類作成 マネーフォワード クラウド確定申告

ここまで読んでくださり、ありがとうございました😊

「枠の復活」について、少しでもイメージが掴んでいただけていたら嬉しいです。

次回もどうぞお楽しみに。

更新情報はX(@nisiyan__blog)でお知らせしています。よければフォローしてお待ちください。

本記事は2026年9月3日時点の情報をもとに作成しています。内容は金融庁が公表した資料等に基づいていますが、税制は今後変更される可能性があります。正確な最新情報は、金融庁や各証券会社の公式サイトでご確認ください。本記事は特定の商品や運用方法を推奨するものではなく、一般的な情報提供を目的としています。投資は自己判断・自己責任で行っていただき、個別の税務・投資判断に関するご相談は、税理士やファイナンシャルプランナーなど専門家にご相談ください。本記事は広告(アフィリエイトリンク)を含みます。

タイトルとURLをコピーしました